日本の金融教育の現状と拡充の必要性~人生におけるお金との関わり方~

1.はじめに

 現代社会で生きる私たちにとって、お金との関係は切り離せません。しかし、日本ではこの「お金」について子供のときから学ぶ機会が少ないように感じられます。例えば「子供はお金に口出ししてはいけません」と少年時代に言われた方も多いのではないでしょうか。そうした中で、小・中・高等学校の時代に「お金」についてきちんと学ぶ機会も少ないように感じられます。実際、OECDが実施した金融リテラシーに関する調査でも日本の順位は芳しくありませんでした。そして現実問題、マルチ商法や詐欺に引っかかる人、投資は単なるギャンブルと誤解されている方も多いです。

 

2.金融教育の現状

 現在、OECDも金融教育の重要性を訴え、日本政府も金融教育の重要性を認識しています。また、日本の現在の社会保障では大学卒業後に就職して、貯蓄をして60歳になれば貯蓄と退職金・年金で生活するという従来型の人生設計が崩れかけています。そのため、“自らのお金を自らで創る”という考えが必要になり、政府も投資を推進するに至っているわけであります。しかし現在、日本銀行が出した資料によると若年層ほど金融教育を受けた人の割合は増えてきているものの依然として半数以上の人は金融教育を受けていないと答えています。このことからも、日本の金融教育の拡充は道半ばだといえます。

 

3.そもそも何故、金融教育が必要なのか

 私が思うに、日本で金融教育が必要とされる理由は2つあると思います。1つは、マルチ商法や投資詐欺の被害を減らすためであります。前述しているように、日本では「子供がお金のことに口出しするなんて」という文化があると考えられます。しかし高校を卒業して大学または社会に出て20歳にもなると、たちまち自由に経済活動ができ責任ある立場になります。そして、悪意ある人間が学生などの知識不足を利用して、法律の網をくぐり抜けて高額な商品などを売りつける事例が多発しています。一時期、学生をターゲットにしたマルチ商法がはやった時代がありましたが、現在もそうした商法に引っかかる人は多いです。実際、SNSを見るとー全てではありませんがー怪しげな情報商材を販売しているアカウントが多数存在します。2つ目は、先ほど述べた「自分のお金は自分で創る」という考えを浸透させるためです。現在日本は急激な少子高齢化・グローバル時代に突入しており、従来の終身雇用・年金制度・貯蓄による人生設計が崩壊しかけています。そのため、個人年金や投資による資産・人生設計が必要になってきています。しかし、投資について正しい理解をしている人は少なく、NISA等の税制的に有利な制度も詳しく知っている人は少ないです。実際、マイボイスコム株式会社が行った調査によると、2020年4月現在NISAについて「詳しい内容まで知っている」と答えた人は約23%にとどまっており、これは2015年4月時点の調査結果とほとんど変わっていません。これに対してアメリカでは、投資や個人年金をしている人が多く、老後の生活に余裕を持っている人が多いと考えられています。もちろんこの差は、国民性もありますが金融教育の不足もあるように感じられます。

 

4.金融教育で教える内容

 現在の金融教育としては、単発的な授業と社会科系教科の中に経済の仕組みを学ぶものがあると思います。私は、この単発的な授業の拡充が必要だと思います。具体的には、2週間に一回くらいのペースで、契約や借金、投資、税などあらゆる「お金」に関する知識を継続的に義務教育の段階から教える仕組みが必要だと思います。また、学生側に興味を持ってもらうためにディスカッション方式や外部講師の積極的な活用が必要だと思います。

 

5.まとめ

 結論として、資本主義経済社会で生きる以上は「お金」との関係は避けられません。そして、20歳を超えると経済活動は完全に自由になります。そのため、お金について正しい理解をしていないと悪意ある人間につけ込まれるリスクが高まります。何より、これからの時代は「自分のお金は自分で創る」という考えが必要でそのための土台として、早いうちからの金融教育は必要であります。今回も長文を読んでいただきまして有り難うございました。

 

※記事を作成するのにあたって参考にさせていただいた文献・サイト

 

・NISA制度に関するアンケート調査

prtimes.jp

・金融リテラシークイズ

www.shiruporuto.jp

・退職後の生活に関する日米比較の調査(2004年2月24日 日興コーディアル証券株式会社)

https://www.smbcnikko.co.jp/news/release/2004/pdf/040224.pdf

・金融リテラシー~人生を豊かにする「お金」の知恵~(2020年2月14日 日本銀行

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko200214a1.pdf