現代人は、スマホとどう付き合っていくべきなのか

今日、スマートフォン(以下、スマホ)は我々の生活になくてはならない必需品であります。今日は、スマホの功罪をお話しするとともに、我々はスマホとどのように付き合っていくべきなのか考えていこうと思います。

 

1.現状のスマホ普及率について

 前提としてまず、現在(2019年時点)の日本のスマホ世帯保有率は、令和2年の情報通信白書によると83.4%(個人保有率は67.6%)となっています。情報通信白書でスマホの世帯保有率の統計が始まったのは2010年であり、その時点では世帯保有率が9.7%でした。このことからも分かるように、たった10年でほとんどの世帯で少なくとも1台はスマホを持つようになったわけであります。ここまでスマホが普及したわけは、その便利さにあります。発売当初は“新しいモノ好き”の人しか買わない嗜好品でしたが、パソコンのように手軽にインターネットに接続でき、どこにいてもネットショッピングや天気などの検索、さらには金融商品の売買まで可能になったことから、一般消費者に急速に普及しました。そして現在、LINEなどのコミュニケーションアプリやTwitterFacebookなどのSNSは特に若い世代には欠かせない存在になり、スマホは見事に生活必需品の仲間入りを果たしたわけであります。

 

2.スマホのメリット

 先ほども少し述べましたが、スマホのメリットは何といっても利便性にあります。例えばナビアプリがあれば、基本的に初めて行くような場所でも乗換駅や歩く方向を案内してくれるため道に迷わなくて済みます。また、ネットショッピングができれば、出先で購入するものを思い出せば忘れないうちに購入できますし、投資をする人であればチャートをリアルタイムで確認でき、売買もスマホがインターネットにつながっていれば可能となります。また、LINEはメールよりも手軽に送信することができ、インターネットがあれば無料で使える電話機能も備えています。このようにスマホは、生活の利便性向上とコミュニケーションの効率化に寄与しています。

 

3.スマホのデメリット

 このように便利なスマホですが、リスクも多いとされています。大きなリスクとして挙げられるのは、思考力の低下と依存性であります。例えば、インターネットが普及していなかった時代と比べて、考える力が衰えてきたという経験はありませんでしょうか?もちろん、思考力の低下は年齢によるものもありますが、インターネットが普及したことで分からないことがあればすぐに検索してしまうといった機会が増えたはずです。こうした機会が増えると、思考をつかさどる脳の器官が自然と使われにくくなります。そうなると、運動不足の人が体力低下するのと同様に、思考力も低下してしまいます。人間の思考力は、他の動物にはない唯一無二のものであり、思考して様々な道具を作ることで人間は繁栄してきました。極端で乱暴な言い方になりますが、その人間が思考力を失えば人類に未来はなくなると思います。そして、もう一つのリスクが依存性です。電車に乗る人ならご存じのとおり、乗客のほとんどがスマホを見ている光景は日常となりました。MMD研究所の調査によると、10~50代の男女にスマホの1日の平均利用時間を聞いたところ、全体で50%以上の人が3時間以上利用していると答えました。そして、10代女性に限れば約33%の人が7時間以上スマホを触っているという結果が出ています。おそらく10代の方の多くは学生であると考えられるため、学校と睡眠・食事等の時間を除くとほとんどすべての時間をスマホに充てているのだと思います。そして、10代の方が金融商品の取引をしているとはあまり考えられないので、スマホを触っているのはSNSかゲームをするためだと考えられます。特に女性に限れば、テレビなどで報じられている通りSNSの利用時間が多いと考えられます。SNSは自分の考えが外部に簡単に発信できるというメリットがある一方で、自分が投稿したものに“いいね”のような評価がつくことから、より多くの人から評価を貰おうと必死になってしまうリスクがあります。そして若い世代ほど承認欲求が高いとされているため、SNSにのめりこんでしまう可能性が高いのです。その結果が、先ほど紹介した調査結果に表れているのだと考えます。

 

スマホが人間の脳に与える影響やスマホ(SNS)との付き合い方について一般にも分かりやすく伝えているおススメの一冊です。

スマホ脳(新潮新書)

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4.スマホとの正しい付き合い方

 インターネットもSNSも本来便利なものであり、正しく付き合うことでリスクを最大限減らして利便性を享受できる道具として使えます。例えば、先ほどの思考力低下の問題だと難しいタスクに取り組むとき、まずは自分の考え・仮説を紙に書いてみる、その後でその考え・仮説を根拠づけるためにインターネットを使ってデータを集めることを意識してはどうでしょうか?そしてSNSの問題には、無目的的にSNSを開かないことを意識する必要があります。なぜなら、SNSはそれまでの自分の閲覧履歴と膨大な全利用者データからその人が興味あると思われる投稿・広告が出やすいように設計されています。なので、無目的的に時間も決めずに使用していると、ついつい長時間利用してしまいます。そして、思い切ってSNSやゲームの通知を切っておくことも効果的です(私も実践してみた結果、どうでもいい通知でスマホを開くことがなくなりました)。重要な連絡であれば、直接電話してくるかメールで来るわけですから、そうした通知を切っても問題ありません。したがって、スマホ(インターネット・SNS)とはほどよく距離をとって、生活の利便・効率化のために必要なツールは使っていく、そうすることでリスクを抑えたうえで利便性は享受するという豊かな生活を送ることができると考えます。長文となりましたが、最後までご覧いただきましてありがとうございました。

 

※参考にさせていただいた資料等について

 

総務省スマホやインターネットの普及率に関する統計です。

www.soumu.go.jp

 

MMD研究所:スマホの利用時間に関する調査結果です。

mmdlabo.jp